ウン十七歳の地図

ただのオッサンの日記です

与えるもの/受けとるもの

彼女の放ったコトバが、何かの破片のように俺の胸に刺さる。
少なくとも、刺さったと俺は感じている。

刺さったのはコトバ?
それとも他の何か?
本当に刺さってるのか?

単純に言うと、俺は嫌な思いをした。
多分、おかしな表情になっていたはず。

なんでそんな酷い言い方するんだろう。
その時俺はそう思っていた。

でも、言い返したりはしなかった。

言い返したりしたって、ロクな結果にならないだろう。

せいぜい自分を正当化するためにお互いを非難し合うのがおちだ。

そんなの、もっと嫌な気分になっちまう。

数分経つと、少し落ち着いてきた。

時間って意味があるな。

落ち着いて考えると、酷い言い方をしたと俺が思っているその人に、俺はたくさん嫌なことをしてきたことに気付く。

それが還ってきただけなのかな、って思ってみた。

与えたものしか手に入らない、って誰かが言ってた。

そうなのかもしれない。

だとしたら俺は阿呆。

自分で自分を苦しめてる。

そもそも、傷付いたり、嫌な思いをすることも、俺が自分自身にそれらを許した結果に過ぎない。

これは俺の世界。

すべては俺が許した幻だ。

簡単に小さな悪意や失望を生み出しているんだ。

ただ、俺はその幻を愛しちまってる。

だからもう少し優しくいようか。

幻の彼女にも。

世界をもう少しマトモな場所にするためにも。

無言のままの俺は、そんなことを考えていた。

時間と空間があるという、この世界で。

もしも何もかもがうまくいかなくなったとしたら、独りに戻るだけだと自分に言い聞かせながら。

俺にはまだ、見つめるだけの関係性があるんだな。

もう少し、あがいてみようか。

何のためかはよく解らなくても。

生まれて、生きているから。

次は何を受けとるだろう?

何を与えられるだろう?