恐怖が俺に言う
「ここでじっとしてろ」って。
その言葉に従いたい俺もいる。
ここは慣れ親しんだ場所だし、とりあえずは安全だ。少しくらいの摩擦はあるけれど、いつも擦り傷程度で済んでるだろ。
ここに居れば、ひどく苦しい思いなんてしなくてもいいんだ。
ここには居たくない俺もいる。
もう飽きたんだ、と言っている。
ここから出たら、激しい流れに巻き込まれて息ができなくなるかもしれない。
でも多分、俺はまだ泳いでいけるさ。
それに、流れがもたらしてくれるものがあるかもしれない。
「光がこの世界にあるのなら、それを目指して進めばいい」
恐怖じゃない誰かが言った。
俺の明日を決められるのは誰?